純粋恋愛ーpuer loveー
尾川はキョトンとした表情で、また視線を私に戻した。
「濱田・・・。」
そう尾川が言うと同時に私は尾川の唇の高さに合わせようと、つま先を少し立たせた。
尾川・・・。
そう思いながら・・・尾川の顔に自分の顔を近づけた・・・
はぁ・・はぁ・・・
尾川の吐息が近づいた・・・
・・・と、同時に自分の吐息も知られているんだと思うとなんだか耳が熱くなった気がした。
お互いの息が唇にかかる・・・
そういうところまできたとき・・・
「やっぱ・・・」
尾川が少し大きな声で言った。
私は、尾川をじっと見た。
「やっぱ・・・やめよ?」
「え・・・・?」
意味が分からなかった。
「キスしたら・・・お前のこと・・・」
・・・聞こえなかった。
曖昧で、何を言ったのか・・・
尾川は私から目を離し、そのまま地面を向いて学校へ軽く走っていった。
私は・・・何をしていいのか、わからなかった。