同棲同名。
横の机にメモが置いてあった。
『大家に事情聞いてくる
河原』
と書いてある。
メモの横には
少し冷めたココアがあった。
優しいんだ‥
ガチャンっ
河原が帰ってきた。
「大家の手違いだって‥」
「え?じゃあこれから‥」
「俺の家出が終わるまで‥」
「家出?」
「あんま詳しくは言えない
お前は?」
「あたしは‥」
言、言えない‥
だらしない女だなんて
言えないし‥
「気、気分だよ!」
慌ててごまかす。
「ふーん」
河原は怪しいという目で
見ていたが
それ以上は詮索して
こなかった。
「家出っていつまで?」
あたしは話題を変えた。
「1年ぐらい」
って事は1年も一緒に‥
「寝室、使っていいから」
「ありがと‥」
なんともいえない空気が
しばらく流れた。