抱えたキセキ、


「はぁ…」

チャプンという音が、風呂場に響く。

「龍聖…」

あの時の言葉どういう意味なの?

《好きだよ、月那。》

私も好きだよ。
別れたくなかった。

なのに…どうして?


「あぁ!ダメだ!」

暗くなる自分に渇をいれて、お風呂を出た。






「あねきおはみょっ」
「食べながら喋るな」
「あぁ、スミマセン」
「ん、」


お風呂を出てリビングに行くと弟の漣が朝食を頬張っていた。


「ってか、姉貴今日起きるの早くない?」
「お風呂入りたかったの…アンタは部活?」
「おぅ!」
「頑張るこった」


漣は、バスケ部に入っている。
しかも、1年のくせにレギュラーらしい…
友達が言うには、
《格好良いし可愛いし運動できるし…漣サイコー!》らしい。
しかも、バスケ部にはファンクラブがあるみたいで、どんだけーとは思うけどあえてツッコまない。


「あっ、やべオレもう行かなきゃ!」
「めっちゃ汗かいてこい」
「シーブリーズあるからいい!行ってきます」
「いってらっしゃい~」


漣が外に出たのと同時くらいに階段を降りる音が聞こえた。


「ふわぁ…」
「あ、たけ兄」
「はよ」
「おはよう」
「……漣は?」
「もう部活行かれましたよ、キャプテン」


降りてきたのは一つ上の兄、猛斗だった。


「あー俺も行かなきゃ」
「ですよね!」
「んじゃ行ってきます」


スクールバックを持って、朝ご飯も食べずに自転車の鍵を持ってそのまま玄関に向かっていった。


……そのまま?


「あの…制服は?」
「学校」
「…は?」
「部室のロッカー」
「…さようで…」


何年も一緒に居るけど、謎すぎる兄。


「アンタも早くしなさいよ」
と、いつのまにか私の前に座ってご飯を食べている母にせかされた。

「あぁ、うん。行ってきます」

「いってらっしゃい」


バックを持って、リビングを後にした。
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