射した光は暖かく
貧乏日常
日常
「いらっしゃいませ~」
…今日もこの言葉から始まる。
「ありがとうございましたぁ」
そしてこの言葉で終わる。
その女。
―――羽田麻衣子
不運にも超貧乏な家庭に生まれ、高校になってもバイトばかり繰り返す。
全ては愛する家族の為に。
その一方、成績優秀、絶対音感、ピアノの腕は平成のリスト。
しかしそれは高校の教師しかしらない。
「ふぅ…今日も朝のバイト終了…」
麻衣子は朝のバイト、新聞配達を終えて高校に向かっていた。
ノーメイク、髪は手くしで整えただけ。
オシャレにはめっぽう関心がない。
高校も実技ピアノで特待生で入れた。
……楽譜の読めない彼女は絶対音感を持つ天才。
曲を一度聴けば必ず弾けるという才能の持ち主。