Are you happy ?
なるべく濡れないように速く走ったが、それでも髪や肩は濡れてしまった
まぁ仕方がないとは思うが…
「なぁ、階段のとこに誰かいねぇ?」
と、樹が唐突に俺に言った
樹は俺より視力がいいから、色んなものに直ぐに気付く…が
この雨の中、しかもさっきまで土砂降りだったとこに人が居るはずがない
「見間違いじゃねぇのか?」
「いやいや、絶対そうだって」
あそこあそこと指を指している
樹の言葉に半信半疑で指の先を見てみた
……やっぱいねぇよ
「ほらみろ、いねぇじゃねぇか」
「いや、いるいる」
「は…?」
いや居ないだろ
もう一度さっき樹が指差した方を見た
……いねぇな
「お前なぁ、もっとマシな嘘つけよ」
「いや、いるじゃん」
はぁ…、何こいつ…
そこまでして嘘を貫きたいのか…?
呆れるわ…
「居るってんなら、どこに居るってんだよ」
少し怒りを込めた声で樹に吐き捨てた
それに樹は臆する事もなく
「え?お前の隣だけど?」
とサラっと言い放った