2月14日
幸せ



「もう私ほんと芦田の事好きっ」



自分の授業をそっちのけで、体育のテニスをしている芦田に熱い視線を送る。



「芦田かっこいーーーっ!!」



まわりの目など気にせずに、芦田にむかい声援を送るものだから、当然教師からの呆れた声が響く。



「こら、中井っ」



出席簿で軽く頭を叩く先生に苦笑いで反して、自分もコートに戻る。



「未來は本当に芦田の事すきだよねぇ」



ボールを追いてれてれと最後尾を走りながら、水夏がやれやれと笑う。



「うん、私は芦田大好きだよ!!だってアイドルだもん」



自慢気に胸を反らす私に、水夏もしみじみと頷く。



「確かにねぇ、目立つタイプじゃないけど、顔は誰より整ってるし頭はいいし、運動も出来るしね」



「みんなも芦田のかっこよさに気付けばいいのにねっ!!」



「とか言いつつ、あんたも恋愛対象としては見てないじゃん」



「いやいや、芦田は私が汚していいものじゃないんだよ。あんな輝いてるヤツは私には恐れ多くて」



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