2月14日
駅に着き、キョロキョロと見回す。
いつもは、私が先だったり、芦田が先だったりバラバラだ。
構内を見渡すが、それらしい姿は見当たらない。
一つ深呼吸をして、ホームへと向かう。
ホームへの階段を一段ずつ、駆け足気味に昇ると、見慣れた背中がすぐに見つかった。
階段を昇り切ったところで足を止め、駆け出しそうな心臓を落ち着ける。
「大丈夫、大丈夫…」
自分に言い聞かせるように、口の中で数度呟き、息を吸い込む。
足に力を込め、大きく一歩踏みだす。
「あ、し、だ〜」
私に気付いた芦田が振り返り、何時もの優しい微笑みを零した。
そして、それに自然と私も笑みが零れる。
「あのね…」