「日常返せ」
なんなのこの人。



「はは、びっくりした顔も可愛いね」

「え、ごめん。坂口君、どうしたの?」

「坂口君なんてよそよそしいなぁ。美波でいいんだよ」


美波って言うんだ。知らなかったよ。


いやいや、そうじゃなくて


「いや、そんな親しくもないのに。
それじゃ馴れ馴れしいよ」

「何言ってんの、俺と湊との仲じゃない」


いまこの人私を名前で呼び捨てした?



馴れ馴れしいわ!



「ちょっと待って、落ち着こう坂口君」

「美波ね」

「坂口君」

「美波」

「坂口君」

「みーなーみー」



うざい




「み、美波…君」

「………」

「あー、もう!美波!これでいいでしょ?」

「ふふ、初めからそうしなよ。
湊は案外素直じゃないね」



なんなんだこいつ!
意味わかんない!
いきなりこんなこと言って
なんのつもりだこいつ!
あー、わかった。
ナンパのテクってやつか
荒手の嫌がらせか!



「湊、なにぶつぶつ言ってんの?」


しまった。私としたことが
常に冷静キャラだった私が取り乱してはいけないのよ
頑張れ湊。こんな荒手のテク男に負けるな。


「いえ、なんでもないです。」

「湊は素っ気ないなぁ」

「あの、ナンパなら他でしてください」

「ナンパじゃないよ」

「嫌がらせなら他でしてください」

「嫌がらせでもないよ!」

「え、いや、そうでしょ。どう考えても」

「湊って、気になる存在だからさ
どんな子か探ってんの」

「いや、人の腹探りなんて趣味悪いですよ」





とにかく早く帰れ。
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