お姫様は桃太郎?!
『オイ真白!テメーなに人の姉ちゃん襲おうとしてんだ!!』
「いや、キスしたら目覚めるかなー、と」
『ふざけんな!』
「駄目っスか?」
『「駄目!!」』
私と小猿、多分本当は袁次の声がかぶった。
青年と小猿はビックリして私の方を見る。
「もう起きたんスか?」
「もうって何だもうって!!」
『良かった〜』
青年の肩に乗った小猿は、ホッとしたらしく息をはいた。
頭に響くこの声は、紛れもない袁次のもの。
やっぱりこの小猿は袁次なの…?
「早くそこ退け」
「あ、ごめんなさい」
『母さんに知らせなきゃっ!』
小猿は青年の肩からピョンと飛び降りると、そのままリビングへと駆けて行った。
体を起こして周囲を見渡す。
どうやら私は、自室のベッドに寝かされていたらしい。
見慣れた空間にいる違和感有りまくりの青年は、とても存在感があった。
端正な顔つきに、青い瞳。
真っ白な髪の毛。
ふと目が合った。
「桃華」
「は、はいっ」
見知らぬカッコいい青年に呼ばれ、緊張で声が裏返ってしまった。
.