お姫様は桃太郎?!
 
私の発言は的外れだったらしい。

恥ずかしくて、急いでご飯を食べて逃げるように登校した。



朝の空気は凍りつきそうなほど寒く、肌からひしひしと伝わってくる。

はく息は白い。


マフラーに顔を埋めようとした時、背後から声をかけられた。



「おはよう、桃華さん」

「あ、ユウキ。おっはー」



少し息を切らした様子のユウキ。

眼鏡が少しずれて、そして曇っている。


私の事を走って追いかけてきたのかな?



「今から大学?」

「ち、違うよ!」

「じゃあどうしたの?こんな朝早くから」

「そ、それは…」



視線を泳がせてあやふやな態度をとるユウキは、いつも通りだ。


でも今日のユウキはそれだけじゃなかった。

何かを言いたげにして、でも口をつぐんでしまう。



「ま、またね!」

「え?ちょ、もう行くの?!」



そして別れの挨拶をしたユウキは、駆け足で去っていった。

途中、何もない所でコケそうになりながら。


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