お姫様は桃太郎?!
 

私にとって、鞄の中にある団子はただの団子。

空腹を満たす食物の他の何物でもない。

それ以上の意味は持たない。


よって、お昼ご飯前の腹の足しに即決定。



「…目の下に隈できてるよ?」

「え?そう?」



机に座ってぼんやりしていると、千尋にそう言われた。


確かに昨夜はあんまり眠れなかった。

だれかさんのせいで。



それに色々有りすぎて、頭が休まらなかった。

普段そんなに使わない脳ミソをフル活用した分、疲れはなかなか抜けない。



「蒸しタオルを使うといいぞ」

「そうなの?!」



隣の席で、会話に割って入ってきたのはクラスメイトの倉知拓真(チクラタクマ)だった。


彼は今年のミスコンで第一位を獲得した今風の男子校生だ。

その風貌は人間とは思えないほどずば抜けていて、また、芸能活動をしている。


言い寄ってくる女は数知れず。

でも、倉知は色恋沙汰に興味がない様だった。


かなりクールな性格で、可愛い子からの告白はスッパリ断る。


サバサバした倉知の性格は、嫌いじゃない。


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