お姫様は桃太郎?!
2
再び歩き出すと、古くて貧相な行きつけの公園に差し掛かった。
家からも近いので、私が幼い頃から暇潰しによくここを訪れた。
木枯らしの吹く夕方で、ブランコは無人だけど揺れていた。
私は幼稚園に通っていた頃から社宅暮らしで、この公園には昔からの思い出が沢山詰まっている。
「久しぶりだし、寄ってみるか」
公園に入り、揺れるブランコに腰掛けて空を眺めてみた。
この寒さならいつ雪が降っても可笑しくない。
息をはくと、白くなってそして何処からともなく吹いてきた風にさらわれてゆく。
「わん!」
たそがれていると、急に背後から犬の声がして、反射的に振り返った。
そこには草むらから顔を覗かせた、真っ白いふわふわの毛を持った犬がいた。
真っ直ぐに私を見てくる。
その愛くるしい眼と毛並み、全てが小学校の頃に隠れてこの公園で飼っていた子犬に似ている。
名前は、確か───
「チクワ!」
思わず声に出してしまった懐かしい愛犬の名前。
すると、その犬は尻尾を振って私の元へ寄ってきた。
当時のチクワとそっくりだけど、全く同じなんて事は無いだろう。
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家からも近いので、私が幼い頃から暇潰しによくここを訪れた。
木枯らしの吹く夕方で、ブランコは無人だけど揺れていた。
私は幼稚園に通っていた頃から社宅暮らしで、この公園には昔からの思い出が沢山詰まっている。
「久しぶりだし、寄ってみるか」
公園に入り、揺れるブランコに腰掛けて空を眺めてみた。
この寒さならいつ雪が降っても可笑しくない。
息をはくと、白くなってそして何処からともなく吹いてきた風にさらわれてゆく。
「わん!」
たそがれていると、急に背後から犬の声がして、反射的に振り返った。
そこには草むらから顔を覗かせた、真っ白いふわふわの毛を持った犬がいた。
真っ直ぐに私を見てくる。
その愛くるしい眼と毛並み、全てが小学校の頃に隠れてこの公園で飼っていた子犬に似ている。
名前は、確か───
「チクワ!」
思わず声に出してしまった懐かしい愛犬の名前。
すると、その犬は尻尾を振って私の元へ寄ってきた。
当時のチクワとそっくりだけど、全く同じなんて事は無いだろう。
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