お姫様は桃太郎?!
『桃華』
「は?は、はいっ!」
急におじいさんから呼ばれ、私の体はビクリと震えた。
怖い。
けど、何処か懐かしさが漂う。
『十七代目の鬼が目覚めた。今こそ仲間を集めて戦うのじゃ!!』
「…はいィィィ?!」
拳を作り、見えていないが空へ突き上げるクソジジイ。
何か投げるモノは無いか探し、そしてマシロの首根っこを掴んで振りかぶった。
『ちょ、何するっスか?!』
「クソジジイが意味不明な事言いやがって…死ねェェェい!!」
第一球、もとい第一匹投球。
じたばた四肢で空を切り暴れるマシロ。
その抵抗も虚しく、勢い良くクソジジイに突っ込んだ。
私はガッツポーズで、心の中で勝利の雄叫びをあげる。
「ストライィィィク!!」
おっと。
口から出てしまった。
マシロはクソジジイの顔面に腹からぶつかり、そのまま腹這いにへばりついた。
『マシロ…』
クソジジイは硬い声でマシロを呼ぶと、私と同じように振りかぶった。
『行くのじゃァァァ!!』
『鬼っス───!!』
キャッチアンドリリースとは正にこの事だろう。
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