お隣さま ~放課後のアイツと恋の距離~
『知らないって、あんたねぇ。
お隣の長谷川さんち、この春から娘さん夫婦が同居始めたのは知ってるでしょ?』
『え、うん』
『その子供も一緒に越してきたこと、前に言ったじゃない』
『……そうだったっけ』
『あきれた』
あたしも自分であきれた。
言われてみればたしかに、そんな話を聞いた……気もするけど。
でも、ご近所のことなんか、ほとんど気にしてなかったもんなぁ。
『――アキ君よ』
唐突に、お母さんが言った。
『え?』