お隣さま ~放課後のアイツと恋の距離~
黙りこむあたしに、彼は「まだ何か?」みたいな視線を送ってくる。
「……お邪魔しました」
そう言って帰ろうとしたけれど、やっぱ最後に嫌味のひとつでも言ってやろうと思った。
あたしはふり返り、精いっぱいの高飛車な態度で言い放った。
「そのタルト、高いんだから味わって食べてくださいね」
すると彼は、柔らかそうな前髪のすき間からあたしを見つめて。
「悪いけど俺、甘いの食えないから」