お隣さま ~放課後のアイツと恋の距離~


「しんどかったね……アキ」



その瞬間、アキの眉間に力がこもった。


まつげが揺れて、熱い息をひとつ吐き出す。


うつむいた彼の手を、あたしはおそるおそる握った。



「……何だよ」


「……」


「あぁ、またあれか」


垂れた前髪の下で、アキが弱々しく笑う。



――『あたしの温もり、アキにレンタル』



このくらいしか、今のあたしにはできないから。

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