お隣さま ~放課後のアイツと恋の距離~


ハンカチを持つあたしの手を、ゴツゴツした大きな手が包みこむ。



「……桃…」



グイッと強い力で引かれた。

前のめりになりかけた体を、あたしはとっさに踏ん張る。


桃はバツの悪そうな顔をしたかと思うと、唇を固く結んで。

そして、片手をあたしの頭の後ろに回した。



「……っ」



――ぼすっ。


軽い音と衝撃とともに、温かくなるおでこ。


すぐそばで聞こえる自分以外の鼓動。

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