お隣さま ~放課後のアイツと恋の距離~
「……泉穂」
抱きしめていた腕をそっと解くと、アキはあたしをのぞきむように見つめた。
切なげな表情。
なんで、そんな顔するの……?
冷たい指が遠慮がちに涙をぬぐう。
瞳に映るあたしの泣き顔が、少しずつ大きくなっていく。
「……アキ……?」
たずねても返事はなかった。
代わりに、肩にそえられた手。
前髪が触れ合って、息がかかる。
まわりの音が何も聞こえなくなる。
とまどいの中、あたしは吸い込まれるように目を閉じた。