お隣さま ~放課後のアイツと恋の距離~


お願い、今だけはリコちゃんを忘れて。


そう願いながら――…



だけど。




「……ごめん」



あと数センチという距離を残し、アキは唇を重ねることなく、うつむいた。



「……」



わかってる。
わかってたよ。


アキの一番は、リコちゃん。


あたしにキスはできない……。



涙は、いつのまにか止まっていた。


泣きすぎたあとの疲れに似た感覚。体から力が失せて、頭の中が霞んでいる。
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