お隣さま ~放課後のアイツと恋の距離~
「桃、いいから……っ」
あたしはアキに手をつかまれたまま、ふり返って懇願するように首を振った。
……あたしを完全に見捨てることができなかったアキの優しさは、痛いほどわかってる。
そして、リコちゃんの存在の大きさも……。
もどかしげに息を吐き出した桃は、唸るように低くつぶやいた。
「他の女を引きずってるくせに、中途半端に期待させるようなことすんな。
お前がそんなんだから、泉穂は――」
「わかってるよ」