お隣さま ~放課後のアイツと恋の距離~
アキは言葉もなく、再びあたしの手を引いて階段を降り始める。
まるでそれが、最後の“責任”だと言うかのように。
寂しい足音がふたつ、星のない夜空に響いた。
一言も交わさないまま家の前に着いたのは、夕食の匂いがあたりに漂う頃だった。
うちのリビングから、お父さんとノゾムの笑い声が聞こえてきて。
アキの家の台所からは、温かい光が漏れている。
そんな日常の光景が、今はなぜか遠く感じた。