【短編】ありふれたメロディ

ずっと菜月さんと一緒に居たいのに、何でだか無性に帰りたくて。

オレはメロンパンとカレーパンを雑にトレイに乗せた。

「なに、2つだけ?しょうがないなお姉さんがサンドイッチをあげよう」

そう言って菜月がサンドイッチを入れる。

お会計の時に菜月さんは自分の財布からサンドイッチ代を出してくれた。

「店長には内緒だぞ?」

オレは頷いて袋に詰めてもらったパンを受け取る。

「優太くん?どうしたの?」

手提げの内ポケットから右手が出てこない。

顔をふせたまま、右手に出てこい!って何度も何度も念じた。

「優太くーん?」

やっぱり無理だと身体から力が抜けた時、陵の言葉を思い出した。





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