【短編】ありふれたメロディ
家に帰ってベッドにそのまま倒れた。
少しずつ身体に感覚が戻っていくと、違う感情があふれ出て来た。
オレは無意識のうちに陵の携帯を鳴らしていた。
「もしもし?」
ただ携帯を耳に当てる。
「もしもし?優太?優太」
声は出なかった。
でも叫んでいた。
ただどうしようもなく叫んでいたんだ。
「……優太、泣いているの?」
陵の優しい声でせき止めていた雫が溢れだした。
「ふっ、うっ、おれ」
「うん、うん。……うん」
すすり泣くオレを受け止めて、陵はただうんと頷いてくれていた。
「良いよ優太。泣いたって良いんだよ」