【短編】ありふれたメロディ
君に贈る歌
「優太大丈夫なの?ちょっとで良いからご飯食べにおいで」
次の日オレは学校を休んだ。
ただたんに起き上がる力が無かった。
女一人のことでこんな
「オレ……格好悪ぃ」
陵との電話のおかげで気持ちは落ち着いていた。
それと同時に、胸の中でカウントダウンが始まっていたのだった。
部屋に貼られた大好きなバンドのカレンダーを見る。
正確には一つ下の列の赤い数字を。
「菜月さんオレ……オレは」
好きだった。
ただ顔を見れるだけで嬉しくて、手を振ってもらえると不器用に心臓がきしんだ。
声を聞きたいからパンを買いに行って、ほんの数分でも一緒の空間にいれたらと願って。
ただどうしようもなく好きだったんだ。