【短編】ありふれたメロディ
何もしないままに時間が過ぎていって、いつの間にか昼になっていた。
こんなに落ち込んでいても腹は減るもんで、昼飯を食べに下に降りようとした時だった。
机の上で携帯が揺れた。
「……もしもし」
「もしもし宮代くんだね?選考会の決勝に君たちのバンドが残ったから、来週の日曜は宜しくお願いします」
「あ……はい、ありがとうございます」
気のない返事をしてしまった。
本来だったら飛び跳ねて喜ぶはずのことなのに、どうして。
「それじゃあ、来週楽しみにしています」
電話が切れても、それが湧いてくることはなかった。
重い身体を引きずってオレは下に降りていった。