【短編】ありふれたメロディ

昼飯はビックリするくらいに味が無かった。

腹もすぐに溜まって半分くらい残したから、お袋が本気で心配していた。

けど大丈夫だ、なんて言うのもおっくうで、オレはまた部屋にこもった。

「……やべ、超すさんでる」

ベッドに腰掛けると無性にギターが弾きたくなって、スタンドに立て掛けていたギターを手に取った。

意味もなくEコードを鳴らす。

儚くて、でも何処か力強いこのコードが好きだ。

「……ふん、ふーん」

ギターに合わせて鼻歌が自然と零れていった。

そうしてようやく手足に温かさを感じたんだ。

「そうだ…歌を贈ろう。作ったことなんかないけど、時間はまだある」

全く作曲の知識も経験もないけれど、オレはギターを片手に曲を作り出す。




< 26 / 34 >

この作品をシェア

pagetop