【短編】ありふれたメロディ
昼飯はビックリするくらいに味が無かった。
腹もすぐに溜まって半分くらい残したから、お袋が本気で心配していた。
けど大丈夫だ、なんて言うのもおっくうで、オレはまた部屋にこもった。
「……やべ、超すさんでる」
ベッドに腰掛けると無性にギターが弾きたくなって、スタンドに立て掛けていたギターを手に取った。
意味もなくEコードを鳴らす。
儚くて、でも何処か力強いこのコードが好きだ。
「……ふん、ふーん」
ギターに合わせて鼻歌が自然と零れていった。
そうしてようやく手足に温かさを感じたんだ。
「そうだ…歌を贈ろう。作ったことなんかないけど、時間はまだある」
全く作曲の知識も経験もないけれど、オレはギターを片手に曲を作り出す。