【短編】ありふれたメロディ

そして菜月さんは、彼氏の車に乗って神奈川へと旅立って行った。

菜月さん好きでした。

どうしようもないほどに、あなたが好きでした。

でも、それを言ってしまったらあなたの足を引っ張ってしまうかもしれない。

これから幸せになるあなたの邪魔をしてしまうかもしれないから、この言葉は一生僕の中にしまっておきます。


作曲なんてしたことはなかったから、良いメロディも良い歌詞も浮かばなかった。

でも、こんなありふれたメロディがいつまでもあなたの背中を押してくれることを願います。

いつの日か僕を忘れてしまう時が来ても、歌詞も曲も消えてしまったとしても

ふとした時にありふれたメロディを思い出して、口ずさんでくれたらと思います。


「さようなら」






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