【短編】ありふれたメロディ


「……よっ」

進路指導室を出ると陵が待っていた。

どうやらオレのことを心配して部屋の外で待っていてくれたらしい。

「あら陵くんこんにちは。久しぶりねぇ」

「優太のおばさんこんちは。中学の時に泊りに行って以来ですかね」

陵は人当たりが凄く良い。

見習わなければと思う反面でたまにイラっとすることもある。

「もう用は済んだんだから帰れよ」

オレはお袋の背中を無理矢理に下駄箱の方へと向ける。

「な、あんたのせいで呼び出されたっていうのに何なのその態度は?」

「はいはい、すいませんでした。ハンセイしてます」

そうやって、どうにかお袋を追い出してようやく一息つくことができた。

陵が微笑む。

本当、陵には助けられることが多いな。



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