【短編】ありふれたメロディ
教室に戻ると色んな奴らにからかわれた。
そんなのは軽くあしらって席に座る。
「大変だったな。選考会も勝ち進んでるっていうのにな」
陵はオレのバンドを応援してくれている。
毎回1500円のチケット代を払ってライブを見に来てくれる。
「……そうだよ。あと一回で決勝だぜ?それが何だよハゲ山のやつ」
オレはハゲ山に言われたことを陵に愚痴った。
愚痴も相談も本当に嫌な顔一つせずに陵は聞いてくれるんだ。
そして最後にオレを諭す様な言葉をかけてくれる。
「まぁね。ミュージシャンなんて不安定な道に進もうとしてるわけだから、そういう風当たりは仕方ないよ」
んー、と低く唸って返事をするオレ。
「それで優太、あっちの方はどうなってんの?」