俺様彼氏と純粋彼女
よりによってその男子の前の席になってしまったからだ。
-**-カバンも置けない…
「陽向ー!
こっちこっち!」
「朝妃!!」
私の親友の朝妃(あさひ)が手招きをした。
こっち来てていいよ とゆういつものサインだ。
「陽向(ひなた)も大変だよねー。
よりによってあの黒木達の前の席なんて。」
「うん…。ちょっと…というより結構……。」
私は少し不機嫌そうに言って朝妃と一緒に女子が群がってる黒木くん達の方を見る。
「もぉホントヤんなっちゃうよねー!!
あの小倉サン?だっけ、あんな人と黒木クンが同じ名前なんてさぁー…。黒木クンだってそぉ思うでしょ?」
群がる女子達の黄色い声が教室に響く。
*-*-*そう。私と黒木くんは名前が同じ。
漢字も同じ "陽向" なんだ。
「別に……」
え!!
"別に"ってことは私と名前が一緒でも嫌じゃないのかな?
「えー!!?
なんでぇー!!?
嫌じゃないのーー!?」
また女子達の黄色い声が教室に響き渡る。