【短編】貴方の背中
Neutral
僅かな衣擦れの音と、時計が時を刻む音。


薄暗い部屋で響く小さな音。
いつも通り寝たふりをしていた私は、ベッドの上でうっすらと目を開ける。


暗がりに浮かび上がる輪郭。
三十も終わりに近いはずなのに、程よく引き締まった身体。特に水泳で鍛えた背筋が、強く男を感じさせる。


彼なりの気遣いなのか、照明は点けないし音もあまりたてない。


それが余計に私を寂しくさせるとは知らずに……。

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