【短編】貴方の背中
参った。まさか仕事の場で“元カレのことが気になって”なんて答えられるわけがない。


「それは……」


横目で朝日奈部長を見る。
突然、私の目の前に朝日奈部長の手が現れた。そして、私の言葉を遮るように、説明を始め出す。


「それはですね。高崎からは言わないでほしいと頼まれたのですが、実は先日、高崎の父親が倒れまして……」


朝日奈部長の手が湯飲みに伸びたが、入っていないことに気付き空を切る。
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