【短編】貴方の背中
私の方に振り向く笑顔がプライベートな朝日奈部長で、“さあ”と差し出される手に促され足早に追い付く。


初めて見る本気の笑顔。
本当に優しい顔をする人なんだ。


……思わず、差し出されるその手を、握ってしまいたくなる。


出しかけた手を引っ込め、行き先も聞かないまま付いて歩く。


「高崎君はさあ、なんでパンツスーツなの?」


真正面を見つめたままの、不意打ち質問。


「はい?」


出てきたのはマヌケな返事。
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