【短編】貴方の背中
「いや、答えたくないならいいんだけどね」


少しの沈黙。


「女……」


沈黙を破ったのは私だった。私の呟くような声に反応して、こちらを見る朝日奈部長。


「ん?」


「仕事の上で、女を武器にしたくないんです。女だからって言われるのがイヤなんです」


朝日奈部長の足が止まる。
生意気なことを言っちゃったと、後悔する。


横を見るのが怖い。


「着いたよ」


はい?
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