【短編】貴方の背中
考えを読まれたことと、それが恥ずべき考えだったことで顔が紅潮していく。
鏡を見ないでもわかるくらいに、顔が熱い。


「そんなこと……、思ってません!」


張ってしまった虚勢に後悔。いつもそうだ。素直になれない。


私はきっと、イヤな女なんだ。
だから、日向にも呆れられるんだ。


朝日奈部長から顔を隠すように俯き、店内に入る。
横を通ったときに“そうか”と呟くのが聞こえた。


残念そうなそれがイタズラッ子みたいで、いつもの朝日奈部長からは想像できなかった。
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