【短編】貴方の背中
外見からは想像できない店内。キャンドルのみの照明は、至る所に揺らめく光と影を作り、不思議な空間を演出していた。


一歩踏み込めば、“いらっしゃいませ”とカウンターから静かに聞こえてくる。


“隠れ家”そんな言葉が良く似合う。


朝日奈部長が引いてくれた椅子に座り、右側に朝日奈部長が座る。


「アルコールは?」


「少しなら……、何か飲みやすいカクテルってあります?」


場の雰囲気に飲まれ、話す声が小さくなる。静かにしなきゃいけないような、空気が確かにある。
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