【短編】貴方の背中
控え目に、決して煩わしい女だと思われないように、週に一度か二度メールを送る。
文面はいつも簡素に。


“寂しい”
“会いたい”


絵文字や顔文字も無ければ、挨拶すらもない。
ただ、欲望をぶつけるだけのメール。


返信は時間と“会いに行くよ”だけの短いものだった。
それでも、

嬉しくて
嬉しくて

携帯を握りしめながら、家に帰る。


家のカレンダーには、ちょうど二十個目の小さなハートマーク。
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