【短編】貴方の背中
日向から顔を背け、手を振りほどく。零れそうになる涙を拭い去りバスタオルを拾った。


「いまさら……。一体何しにきたわけ?」


振りほどかれた手を見ながら、冷静に答える日向。


「何って、会いに来たんだけど。タイミング悪いみたいだね」


全てを理解しているかのように“またね”と言いながら振り返る。
その後ろ姿を見て、タオルを握る手に力が入る。


少なからず、引き留めたいと願う私がいた。
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