【短編】貴方の背中
「早いですね、朝日奈部長」


背中に語りかける。
朝日奈部長は振り返らない。ロックグラス越しに映った朝日奈部長と、目が合う。


「髪、切ってきたんだ。そっちの方が高崎君らしいね」


朝日奈部長の手が、一気にグラスを傾ける。空になったグラスを置き、左側の椅子を引いてくれた。


「座りなよ」


椅子に座って飲み物を頼み、それが来る前に頭を下げた。


「昨日はスイマセンでした」
< 51 / 60 >

この作品をシェア

pagetop