【短編】貴方の背中

もし目の前にいたのなら、日向はきっと呆れた顔して“しょうがないな”って頭を撫でてくれるのに。


電話じゃ、伝えたいことの十分の一も伝わらないよ。


「それなら、私が名古屋に行くからさ、今度の日曜日大丈夫？」


会いたい。
ただ、会いたいだけ。


そばに居られれば、どんな疲れでも癒されるから。
愚痴も言わない、我が儘も言わない。ただ、会いたい。


でも携帯から聞こえてきたのは、予想外の一言だった。