【短編】貴方の背中
もちろん、私から連絡をとる方法もある。


でもそれは、……出来なかった。


謝ったことがないから。
ケンカしても、いつも日向が謝ってくれたから。


だから、謝るタイミングが分からなくて、“また怒鳴られたらどうしよう”って不安で……。


何度も、何度も発信ボタンに指を乗せては躊躇ってしまう。


時間が過ぎれば過ぎるほど、謝りにくくなるのに。


私は日向と向き合う勇気がなかった。
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