青に焦がれて。
彼と喋った時間は早く過ぎて、

「もう時間だ。俺これからバイトなんだよね。」

腕時計を確認しながら言った。

「残念だけど、おねいさんまたね。本当は送って行きたいんだけど、ごめんね。」

彼は走りながら振り向き、

「気を付けて帰ってねー。」

大きく手を振りながら去って行った。

あたしも小さく手を振り返した。

彼の背中にあったギターケースを見て、金髪のギターのお兄さんだと気付いた。


この日、ほんわかした気持ちになれた。

いつもはバスを待つ間、ダイヤの乱れにイライラしか募らないのに、どんなに遅れていようと気にならなかった。

久々に誰かと喋ったからだと思う。仕事ではなくプライベートで。



それからバイト上がりに彼と
ちょくちょく会う事があった。

公園で缶コーヒー片手にお喋りしていたのが、いつの間にかご飯を食べに行くようになった。

彼と会う日は楽しかった。

バイトが終わる時間が近付くと、「今日は彼に会わないかな。」なんて、期待しちゃってるあたしが居た。

彼から「付き合おう。」と言われ躊躇いもなく返事した。


何気ない日々の事を楽しそうに話す彼を見て、あたしも楽しい気持ちになった。

彼と一緒に居る事によって、あたしの毎日も楽しいものになるんじゃないかって思った。
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