青に焦がれて。
Blue.3
あたしは甘えられるより、甘えたい。

何かをしてあげるよりも、してもらいたい。

基本、我が儘なあたしは自分の言い分が通らないとイライラする。



金曜日の夜、居酒屋はてんてこ舞いの忙しさだと思う。

数週間振りに浩介は週末の夜に休みを取った。

特にプランもなく、バイトが終わると待ち合わせの公園に向かった。

浩介は既に来ていてプチ路上ライブしてる。

ベンチに座りギターを弾きながら歌う姿はカッコイイ。我が彼氏ながら思う。


その回りに数人の女子高生。

浩介の隣に座るのは場違いだと思い、その女子高生達に混じると、あたしに視線を合わせた浩介は微笑んだ。

ギターのセンスは分からないけど、歌う浩介は楽しそうで歌う事が好き過ぎて仕様がないって感じがする。


曲が終わると女子高生達から拍手と、「キャー。」と小さな歓喜が起こった。

「コウ!次この前のライブでラストに歌った曲聴きたい。」

ただの女子高生でなくコウのファン?


あたしは1度もライブに行った事はない。

浩介から来いと言われた事もないし、あたしも行きたいと言った事はない。

浩介がどんな曲をどんな風に歌うかは知ってる。

たまに近所の公園で、ギターを弾きながら歌う姿を隣で見てたから。

だけど浩介の歌う姿を知ってるのはあたしだけじゃなく、見ず知らずの女子高生も知ってる。

なんだかモヤモヤした。

初めて実感した事実にか、浩介の事を『コウ』と呼ぶ女子高生にか。
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