青に焦がれて。
イブもクリスマスも平日なので、この日はバイト。
ライブは8時から。
バイトが終わった後だから時間には優に間に合う。
遅く帰った次の日に5時半起床。
ハタチだったら、とか・・・考えてしまう。
「何か用事入ってた?」
なかなか返事をしないあたしに、浩介が怪訝そうに聞いた。
「いや、そういう訳じゃないけど・・・。」
煮え切らないあたしに、
「だからごめんって。イブなのに2人きりじゃなくて。」
だから、そうじゃなくて。
あたしは心の中で息を付き、
「分かった。パン屋が終わってからでも間に合うから行くね。」
正直上手い言い訳が出来るなら断りたかったと思った。
彼女としても残念なあたし。
さすが、師走!
特別な事をしていなくても、毎日は慌ただしく過ぎて行く。
1日よりも1ヵ月。
1ヵ月よりも1年。
過ぎて行く日々が早く感じる。
バイトが終わり更衣室で一時の団欒。
早番メンバーのフリーター層は若干あたしより年下。あとは、おばちゃんメンバーという構成。
年齢層関係なく、やっぱり話題はクリスマス。
「クリスマスは彼氏と旅行に行くんですよ。」
2つ下の子がキャピキャピ感満載で発した言葉より、話題がクリスマスの予定になった。
「若い子らはいいわねぇ~。息子が地域のサッカークラブに通ってるから、そこのお世話に行かなきゃなんないのよね。」
「うちの子はクラスでするクリスマス会の出し物の練習しててね、劇でシンデレラの林檎役やるらしいの。」
林檎役って・・・そこは本物の林檎を使おうよ。
「うちの娘もピアノ教室の・・・。」とか、会話の流れはおばちゃん達に乗っ取られていた。