青に焦がれて。
新しい環境になると、初めは違和感ばかりだったけど、だんだん慣れていく。

慣れるとそれが当たり前になり、習慣になった。

今まではそうだった。

いつの間にか溶け込んでいて、生活の一部になっていた。

だけど、この土地はあたしの当たり前にならない。


近所のコンビニが違う。

バスの始発や終電の時間も違う。店の閉店時間も。

友人も。交友関係も。

街が眠り出す時間さえも。

スーパーの品揃え具合にさえ、未だに違和感とイライラしか感じない。


だから楽しみで仕様がなかった。同窓会が。

久々に友達に会える事で、満足出来る有意義な時間が過ごせると過信していた。


予想外な事に友達から『行けなくなった』とメールが来た。

残念だなとは思ったけど、また機会があれば連絡取って会えばいいと思った。

打撃をくらう程にならない。

何とも言えない気持ちになったのは、その理由だった。

この年になれば当然だと思う。

『旦那の実家に帰らなきゃいけない』からと。


あたしは彼女が結婚した事を知らなかった。

1番最近に会ったのは5年前。それ以来連絡を取っていない。

その5年の間に彼女が結婚して、子供が居ても不思議ではない。
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