青に焦がれて。
あたしも同じセリフを言う。

「ごめんね。気を付けるから。」

シュンと項垂れ反省したかのように装えば、浩介のイライラは少しおさまる。

「ちゃんと携帯見てろよ。」

「うん、気を付ける。」

お決まりのパターン。


喧嘩にならずに納まるけど、また同じ事が起こると思う。

「ごめん。」って謝るけど、メールに返事しないとか鳴ってる電話に気付かないとか、そういうのあたしが悪いと感じないから。

だからまた起こる、同じ事が。そしたら同じように謝る、口先だけで。

もちろん電話に気付いたらちゃんと出る。例えばトイレに行ってる間に着信音が聞こえたら、トイレから出てきたらかけ直す。

メールはと言われれば、読んで気分によって返したり返さなかったり。



「普通さメール来たら直ぐ返すよね!?」って聞かれた事がある。その返答にあたしは曖昧に答えた。

聞いてきた相手は昔勤めてた同僚の人だった。特別仲が良い訳でもなく、社内や会社の飲み会で喋る程度。

だから「あたしはそう思わない。」って答えられなかった。

あたしとその人は感覚が違うから。あたしと浩介も感覚が違うから。



喧嘩する事も面倒なあたしは、無難に納めるために「ごめんね。」って言う。思ってなくても。

そうすれば丸く納まるから。
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