青に焦がれて。

「師走だ師走!!」とか「マジ忙しい。」とか、大変そうなのは周りだけで、

イベントライブの準備に追われてる浩介とか、ケーキのノルマに追われてる社員さんとかで、

至って変わらない日々を送ってたあたしは、あっという間にイブ当日を迎えた。


パン屋なのにケーキ屋さんみたいに装飾された店内と比例して、冬休みに入った遅番グループの学生さんもウキウキしていた。

いつかヘルプで土曜のシフトに入った時に一緒だった彼女達も、

「今日の飲みって誰が集まるんだっけ!?」

「先輩だよ。」

「えー!先輩ってアノ!?」

どの先輩かも分かんない。

「そーそー。アノ!!」

「マジでっ!?」

「最近彼女と別れたらしいよ。」

「うっそー!あんなめっちゃラブラブだったのに!?」

「あたし彼女になりたーい。」

「やめときなよ。どうせ遊ばれて終わりだって。」

「だよね~。」

どんだけラブラブだったかも知らないし、アノ先輩もアノ先輩の彼女も知らない。

途中会話のあちこちで『コウ』と『ライブ』って聞こえてきた。

けど、「君達も行くの!?実はあたしも!」なんて参加せず、

疎外感なんて感じなかったけど、あ~若いっていいなって思いながら彼女達の会話に耳を傾けていた。
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