青に焦がれて。



既に経験済みなのに、やっぱりあたし達は凝りなかった。またまた1ヵ月後、頭に血が上る体験をした。

クリスマスパーティーと名を借りたチョコパーティーで。

「暫くはチョコいらん!」

「うんざりだね。」

「だね!」

とか何とかかんとか言いながら、言ってる側からチョコに手を伸ばす。

「鼻血出しちゃえ!!」

「ブーだよ!ブー!!」

大声で笑いながら女同志恥じらいもなく、大口を開けてギャハギャハ騒いだ。



バカ騒ぎばっかりしてたけど、彼氏とだってクリスマスを過ごした事だってある。

2人で指輪を買いに行ったり、ちょっぴしいつもよりお洒落なレストランで食事したり。普段は行かないようなホテルに泊まったり。

だけどバカ騒ぎしてた時が1番楽しかった。



今日だって今までにないクリスマスを過ごしてるのに、ちっとも騒ぐ気になれない。

ステージで歌う彼はカッコイイのに、いつもと違う浩介を見てるのに。

ここに居る女の子達のように彼に向かって「コウー!」なんて叫べないし、オリジナルの曲を一緒に口ずさむ事も出来ない。

悲しい事に、明日起きれるかな。なんて朝に弱い自分が遅刻しないかどうかを心配している。

アウェーなあたしはラストまで、ただただ、ずっと浩介を見ていた。

最後に歌った曲は聞き覚えがあって、待ち合わせの公園で歌ってたやつだ。って気付いたのは終盤にさしかかってから。

あの時と同じように、歌い終えるまで浩介の視線があたしを捉えたままだったから。
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