青に焦がれて。
Blue.2
家に帰ると浩介が居た。合鍵を渡してるから、いつでも自由に出入りしている。

「おかえり。」

「ただいま。」

あたしが帰って来ると、今まで手にしていた雑誌を置き、

「今日さ、休みだったのにバイト行かなきゃいけなくなったんだよね。」

ミュージシャンになりたい彼は就職せずにフリーター。

あたしも人の事を言える立場じゃないけど。

「あーあ、久々の休みだったのに。」

昼間はコンビニ、夜は居酒屋店員。掛け持ちフリーター。

実家暮らしで裕福な家庭で育った浩介には、十分過ぎる収入だと思う。

殆どスタジオ代やギターやら、そういう類いにお金を使っている。

そんな彼を責めるつもりはない。

「最近バイト続きだったもんね。」

コーヒーを入れたカップを2つ持って、浩介が座っているソファーの隣に腰を下ろした。

「浩介、あたし正月は実家に帰るね。」

「はあ!?」

浩介は何言っちゃってんの、こいつ。的な視線を向けた。

「初詣は!?雑煮は!?」

雑煮くらい実家で食べろよ。

「カウントダウンは!?」

喉まででかかって、

「正月は毎年実家に帰ってるの。」

浩介と付き合い始めて半年。その事は知らない。

「それに同窓会があるみたいだし。」

「同窓会?」

「うん、中学の。」

「それに行く訳?」

「行くよ。」

浩介の顔がだんだんと不機嫌になっていく。

「朝、友達からメール来てて行くって返事した。」

「俺に何も言わずに?」

「言ったじゃん。同窓会に行くねって。」

こういうのが面倒だと最近思う。
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