【完】─片思い─
全部、『気まぐれ』だった。
友だちと話すのだって、『気まぐれ』だったんだ。
クラス替えがあり、あたしは仲の良かった子と離れた。
別に…悲しくなんかない。
話合わせて、笑ってただけだし。
「ぁ、稲実、さん?」
「ぇ」
話しかけてきたのは、知らない女の子2人。
「あたし、夏海ちゃんと仲良くてさ! 夏海ちゃんが、『稲見和ちゃん、すっごいいい子だから!』って言ってて!」
夏海ちゃん、ってのは、仲が良かった子だ。
正直、この時夏海ちゃんは嫌いになった。
『あたしの何を知ってるんだよ』
そんな事を思った。